
上階住人との衝撃の初対面(⁉)を経て、結局…ご近所挨拶は隣の1-2号室だけ伺うことになった私たち。
―――もし今、上の人が窓を開けていたら…
こちらの話し声まで聞かれてしまうかもしれない(ガクブル
そんなことを考えながら、なるべく手短に済ませようと決めたのでした。
▼お隣さんへのご挨拶

引っ越しの手伝いに来てくれていた両親には部屋で待っていてもらい、私と婚約者の2人だけで1-2号室のインターホンを押しました。
お隣に住むのは、小~中学生くらいのお子さんが複数人いるご家族。
玄関先に現れた旦那さんは、煙草の匂いを漂わせた金髪のちょっと強面ヤンキー風な方でした。
ただ、話してみると特別態度が悪いわけでもなく、ごく普通のお父さんといった雰囲気…
サクッとご挨拶を済ませ、私たちはそそくさと自室へ帰還。
…上の住人は、窓を開けてこちらの話を聞いていなかっただろうか?
普段はポジティブシンキングガールな私ですが、この時ばかりは珍しく、少し不安になっていました。
それからしばらくして両親も帰り、部屋には私たち2人だけ。
まだ引っ越して1週間。
本来なら、新生活への期待に胸を躍らせながら、わくわくと段ボールを開けていたはずが。
―――いかに静かに作業するか。
―――上の人を刺激しないようにするにはどうしたらいいか。
今は、そんなことばかり考えていました。
静かになった部屋で、ふと婚約者と顔を見合わせます。
「なんか…お互い少し疲れた顔してるね。」と、2人で苦笑い。
この物件Aでのこれからの生活に、募る不安を振り払うことはできませんでした。
▼”音返し”が…消えた?
ところが、この日を境に少し様子が変わりました。
なんと、上階からの「音返し」がピタリと止まったのです。
ドアの開閉音や床の軋む音など、こちらの日常生活音に反応するように返ってきていたあの「ドンッ!」が、
急になくなったのでした。
ただ、突発的な謎の打撃音そのものは毎日続いています。
平日… 朝7~9時頃&夕方~深夜
土日祝… 朝昼晩問わずランダム
そんな感じで「ドンッ!」「ゴンッ!」と、相変わらず鳴り響いていました。
しかし不思議なことに、こちらの生活音に対する”即レス”は完全になくなったのです。
・・・なぜ?一体どうしたというのでしょうか。
理由は「ベランダ窓事件」なのか…
気付けば、この変化はあの「ベランダ窓事件」の日の夜から始まっていました。
私たちだけに対する音返しが、突然なくなった。
ということは―――
やはり今までのアレは、単なる気のせいではなかったのではないか?
そう考えざるを得ませんでした。
これはあくまで私の推測ですが、上階住人は私たちに対して何らかの強い関心を持っていたのかもしれません。
そしてあの日―――。
窓からこちらを見ているところを、私たちに発見されてしまった。
「こっち見てる!」
と言った私の声も、おそらく聞こえていたことでしょう。(いや、それはゴメンて。笑)
もしかすると、その後のあの謎行動――”手を出したり引っ込めたり”は、
「雨が降ってないか確認してるんですよ~、監視してたんじゃないですよ~」
……というアピール、体裁を繕っていたのかもしれません。
そら気まずいよな。
窓開けて隣人観察してるところを、本人たちと目が合っちゃったら…
ただ、その日は雲1つない快晴で。
太陽サンサン、少し汗ばむくらいの真っ昼間。
そんな青空の下で、窓から腕だけ出して雨の確認をしているような姿は、客観的に見ればなかなか異様な…まさに不自然な光景です。
本人にとっても、不測の事態によるとっさの行動だったのでしょう。
何にせよ、この日を境に…私たちへの”音返し”だけはなくなりました。
少しだけ改善した状況に、私たちはホッと胸を撫で下ろしていたのでした。
もちろん、この安堵は長くは続かないのですが…。
日に日に激化する「ドンッ!」
ここで、入居からの流れを整理してみます。
【入居初日~】
すでに謎の打撃音&音返しが発生。
↓
【引越し当日 ※初日から1週間】
引き続き、異音が継続。
この辺りで違和感が確信に近づく。
↓
【引越し1週間 ※初日から2週間】
両親訪問と共に「ベランダ窓事件」発生。…以降、なぜか音返しだけ停止。 ※ 突発的な打撃音は継続
一見、状況は改善したように思えました。
しかしその一方で、なぜか継続している突発的な「ドンッ!」は日に日に激しくなっていったのです。
そしてさらに・・・
新しいタイプの音が増え始めました。
(なんでだよおぉぉぉぉ!!!w)
▼突如として始まった”バイブ音”
それは、引っ越しから2週間(初日から数えると3週間)ほど経った頃。
朝7時半頃から始まる、いつもの「ドンドコ」がもはや目覚まし代わりになっていた…休日の朝でした。

…今日もやってるね、上の人。

うん。朝から元気だねホント(笑)
まだベッドの中で寝ぼけながら、2人で天井から鳴り響くそれらの音を聞いていました。
上階からは、ここ最近より激しくなった足音や打撃音がいつものように聞こえる…
すると、しばらくして
ゴトゴト…。
ガタガタ…。
何かを動かすような音が聞こえ始めました。
「――ん?なんだ?何かやり始めたぞ?」と思った、次の瞬間。

ブーッ…ブーッ…ブーッ…
突然始まった、規則的な重低音。
スマホのバイブレーション音のような、謎の機械振動音です。
そしてその直後、
「ドンドンドン!」←足音
「バタン!」←たぶん玄関ドアの音
「ガチャガチャ…。」←外で自転車が出ていく音
どうやら上階住人は外出した様子でした。
しかし、なんと。
「ブーッ…ブーッ…ブーッ…」というその音は、それから1日中鳴り続けたのです。
ようやく止んだのは、夕方17時過ぎ。
上階住人の帰宅らしき物音が聞こえたと思ったら、突然バイブ音が止まりました。
そして入れ替わるように、
「ドゴンッ!」
「ドンッ!」
「ドゴォン!」
いつもの打撃音が再開…。
……いやホント、わしらの休日を返してくれ。もう。(´-ω-`)
2階の住人同士が争っている?
この日、さらに気になったのは、音の発生する場所でした。
打撃音もバイブ音も、どうも最近は隣室側の壁や天井付近から聞こえてくるのです。

つまり、2-1号室(上階住人)と2-2号室(上階隣室)
この2部屋の間で何か起きているのではないか?
そんな可能性が、頭をよぎりました。
私たちは「騒音トラブル 振動音」でネット検索してみました。
すると、世にも恐ろしい情報がわんさか出てくる。。。
※画面の前の皆さんも、ぜひ1度調べてみてください…多分私たちと同じものが見られます(怖
そして、おそらくこれだろうな…というこれまた恐ろしい存在を見つけることができました。
それは、『振動スピーカーによる嫌がらせ』というものでした。
”振動スピーカー”や”超音波発生器”による騒音被害
曰く、世の中には
嫌いな隣人に対して骨伝導(振動)スピーカーなどの機械を壁や床に設置して
長時間の重低音(振動音)を鳴らすことにより嫌がらせをする
という恐ろしい方法があるそうです。
人によっては害獣避け用の超音波発生器を同様の意図で使ったりする例もあるようで…。
もちろん、これは当然ながらNG行為。
どんな理由があろうと、こんなことを故意にやってはいけません。
(※ いま初めてこの方法を知ったという方も、絶対やっちゃだめですよ!)
迷惑防止条例違反や場合によっては傷害罪などになることも。
実際、全国ニュースで時おり報道もされていますよね。
隣人トラブルで近隣住民に故意の騒音を長期間出し続けて逮捕された、という事件…。
業務用スピーカーやら楽器やら、とにかく調べれば調べるほど…
こういった様々な”隣人向けの騒音嫌がらせ手法”が、実際に事件にまで発展した過去の事例と共にたくさん出てきます。
ホント怖い。怖すぎる。
さらに賃貸物件の契約では、ほとんどの場合
「楽器演奏、また故意によるスピーカー等の音を発する機械での常識を超える音出し行為」
が禁止されています。
つまり、たとえ刑事事件にならなくとも、そもそも賃貸の契約違反となって強制退去や損害賠償裁判などに発展する可能性もある、キケンな行為。
民事、刑事共に法的にもアウトに近い行為なのですが…
ただしこの嫌がらせ方法、それでも世の中に存在し続けるのには理由があります。
重低音や超音波といった音の種類は簡易的な騒音計では計測ができないし、また人によって聞こえ方が違うことも多いため、被害者側は加害の立証をするのが難しいという側面があります。
いわゆる、
「法的にはアウトに近いんだけど立証が難しいから泣き寝入り&無法地帯になる場合がほぼ」
―――という、とんでもない手段らしいのだ。ひえぇ…
もちろん、この時点では上階住人が本当にコレをやっているのかは、まだ分かりません。
しかし尋常ではないレベルの打撃音が、毎日昼夜問わず鳴り続けていることも事実。
「もしかすると、上の2部屋で騒音バトルが始まっているのでは…?」
そんな想像をしてしまうほど、この状況は異様でした。
▼ついに、隣人へ相談…。

その日の夜。
ドンッドゴンッ・・・ドンッ!――と。
夕方から早数時間、響き続けている打撃音はどんどん激しくなり、この日は0時近くになっても終わる気配がありません。

……この時間になっても終わらないのは、さすがに普通じゃないよね?

もし上の2部屋が壁を叩き合ってるんだとしたら、かなりヤバいレベルだな。

何か事件とかになったら嫌だな…。
そんな話をしながら、私たちは寝支度をしていました。
とはいえ、上の階の人たちが争っているのかどうか、まだ確証はありません。
苦情を入れるにも、警察を呼ぶにも材料が足りない…。
何より、面倒事には関わりたくない。
(……まあ、すでに十分巻き込まれているのですが。トホホ。)
そこで私たちは、思い切ってこの晩、隣の1-2号室へ話を聞きに行くことにしました。

夜遅く、パジャマ姿のままでみっともないなと思いながら、そっと隣室のインターホンを押します。
………
……ガチャ。
出てきたのは、以前ご挨拶したあの金髪のお父さん。

……はい。

夜分遅くに申し訳ありません。ちょっとお伺いしたいことがありまして…。

あの、今ずっと聞こえている、この上からの叩くみたいな音って…そちらにも聞こえてます?
すると旦那さんは、前回と同じように煙草の匂いを漂わせながら、少し面倒くさそうにこう答えました。
「あぁ、うちにも聞こえてますよ。」
――やっぱりね。
その返事に、私たちは思わず顔を見合わせました。
この隣人のひと言が、今までの騒音問題が私たちだけの気のせいではなかったことを示す、最初の証言となったのでした。
〈次回予告〉第5話は…

隣の家族が語る、この”騒音”と上階住人に関する新たな事実。
「いつから?」
「誰が?」
「どんな意図で?」
様々な疑問が浮かぶ中、その隣人は私たちの質問に答えてくれます。
―――今に始まったことじゃないよ、コレ。
金髪のお父さんは、少し呆れたような顔でそう呟いて…


