
引っ越しから1か月、ついに限界が…
日を追うごとに悪化していく、上階からの騒音。
それでも私たちは希望を捨てず、「そのうち収まるかもしれない」と様子を見続けていました。
しかし、現実は逆でした。
「ドンドン!」という打撃音も、
「ブーッブーッ」という謎の重低音も、
一向に収まる気配がありません……。
そして引っ越しからちょうど1か月が経った頃、私たちはついに決断します。
「大家さんに相談しよう」
―――と。
▼不動産会社と管理者(管理会社)の違い
ここで「え?不動産会社に連絡するんじゃないの?」と思われた方もいるかもしれません。
実際、私も最初はそう思っていました。
ですが実は…一般的な不動産会社の多くは、あくまで物件を紹介する「仲介(媒介)会社」です。
入居後の設備トラブルや住環境に関する問題は管理者である大家さんや管理会社が対応することになっているので、不動産仲介会社は立場上、物件紹介や契約関連のこと以外はやりません。
やれないのです。

もちろん中には、不動産仲介会社が管理会社を兼ねている物件もあります。
しかし、この物件Aはそうではありませんでした。
そういえば、入居決定時にも『この物件は大家さんの直管理物件である』という話は出ていた。
実際、私もまずは不動産会社へこの件を相談しました。が、

こういった入居後の設備や環境に関するご相談は、大家さんしか対応できないんですよ〜(困)
―――との返答。
まぁ、それはそうよなぁ。仲介だし。
仲介業務しか行っていない会社が、勝手に入居者へ注意したり調査したりするわけにはいきません。
つまり、この問題を相談できる相手は大家さんしかいなかったのです。
▼物件Aの大家さん

大家さんのお宅は、物件Aのすぐ隣に建つ大きな一軒家でした。
何かあれば直接訪問することもできます。
…とはいえ、いきなり押しかけるのも気が引けるので、まずは電話で相談することにしました。
賃貸契約書に記載されていた番号へ電話すると、留守電。
メッセージを残して待っていると、その日の昼頃に大家さんから折り返しの連絡がありました。
挨拶もそこそこに、さっそく現在の上階騒音について事情を説明することに。

もしもし、お世話になっております。
物件Aの1-1号室に入らせていただいた●●です。
突然すみません、実は少しご相談したいことがありまして……
物件Aの大家さんは、70〜80代くらいの年配女性。
穏やかで優しそうな方ですが、ただ正直に言うと…少し頼りない印象もありました。
というのも、入居直後から部屋の設備不良について何度か大家さんに相談していたのですが、いつもその度に
「私ももう歳だから…」
「親から遺産で引き継いだだけで、物件のことはよく分からなくて…」
という言葉を繰り返しており、話がなかなか進まないことが多かったのです。
そんな大家さんに、この騒音問題を相談しても果たして解決するのだろうか―――?
不安はありましたが、この物件は管理会社を挟んでいない大家直接管理型のアパートです。
頼れる相手は、この大家さんしかいません。
大家さんの反応はまさかの…
私は、入居以来から続いている”騒音”について、まずは説明しました。

他の住人の方の普通の生活音なら、全然気になりません。
ただ、どう考えても日常生活では考えられないような激しい音が毎日のように続いているんです…。
すると大家さんは、

あらまぁ、そうなんですね。どうしましょう…
こんなこと初めてだわぁ。
と答えました。
―――ん? はじ、めて?
思わず耳を疑いました。
先日、お隣の1-2号室のご家族からは、
「以前から騒音がある」 「大家さんに苦情も届いているみたいだ」
という話を聞いていたのだが…どういうことだ?
私はそのことを伝えてみました。
すると大家さんは、

いやぁ、私はほんと親からこの物件を引き継いだだけで何にも分からなくて。
どうしましょう〜…
と、困ったような反応。
……いや何度目よそれ、いつも言ってるよそれ。(´;ω;`)
上階の「おじいさん」って…
私は続けて説明しました。

音を出している部屋はココだ!とは、こちらから断定することはできません。
ただ、お隣の方と話したかんじでは2-1か2-2のどちらかじゃないかと。
私たちの感覚では真上の2-1号室のように聞こえますが…
すると大家さんはまた「え~っ?」と困ったような声を上げながら、

2-2の方は、このアパートが建った頃から住んでいる方なんですよぉ。
もう●●年にもなりますし、かなりご高齢ですし……なんだか信じられないわぁ
と話しました。
・・・・・ほぉ~、なるほど。
2-2号室の住人は、高齢者。
しかも長年住み続けているベテラン住人らしい。
ということは、お隣の旦那さんが話していた「おじいさん」とは、この人のことなのだろうか?
―――いや、待てよ。
もしかしたら2-1も2-2も両方おじいさんで、上階では騒音ジジバトルが勃発している可能性もあるぞ。
依然として、上階住人に関わる情報はまだ謎に包まれていました。
実態調査と注意喚起の依頼
私は最後に、こう大家さんへお願いしました。

とにかく、私たちも部屋までは断定できませんので、一度調べていただけないでしょうか?
もし原因が分かれば、注意や対応をお願いしたいです。
このままだと本当に…危険なことになりそうな雰囲気なんです
大家さんは終始、「あらまぁ〜」「困ったわぁ〜」を繰り返していましたが、とりあえず、話は聞いてくれました。
電話を切ったあと、私は思いました。
――大丈夫だろうか?
正直、不安しかありません。
それでも今できることはやりました。
その日、仕事中だった彼へ
「大家さんに騒音の件、電話しておいたよ。」
とメッセージを送り、事態が良い方向へ向かうことを願ったのでした。
▼苦情の、その後は…
さて。
こうして私たちは、正式に”騒音苦情”を入れたわけですが、その後どうなったのか?
結論から言います。
なんっにも、変わりませんでしたぁ!!!泣
後になって判明するのですが、この大家さんは私から相談を受けて以降、約3か月もの間―――
この件について、文字通り”なにも”…何の対応もしていなかったのです。
ただ、私からの電話を受けただけ。
それだけでした。
もちろん当時の私たちは、そんなこと知りません。
ただ、あまり頻繁に連絡するとこっちがクレーマー住人だと思われるのも嫌でしたし、この頃はまだ大家さんの対応を待って、しばらく様子を見ることにしました。
しかし……騒音は止まりません。(そりゃそうだ)
それどころか、日に日に悪化していきます。(いやこれは何でなん?)
そしてついに、それらは危険を感じるレベルへと到達したのでした。
▼深夜の異常事態

大家さんへ相談してから数週間後。
その日の夜の「ドンドコ」は過去最悪でした。
もはやいくら何でも、生活音と言うには無理があるレベル…
「…ドゴンッ!」
「…ドォンッ!」
「…バコォン!」
明らかに、何かを殴っている音です。
壁なのか床なのか。
とにかく何かを力いっぱい叩きつけている。
そんな音でした。
さらにその中で、
「ガランガランガランッ!」
という激しい金属音。
何かが倒れたのか。
吹き飛ばされたのか。
家の中で暴れ回った結果、物が転倒したような印象でした。
私は思わず、彼に言いました。

ちょっとさすがにヤバいかも。誰か止めに行かないとまずくない?
すると彼も、

うん……これは警察呼んだ方がいいかもしれない。
と真剣な声…。
時刻はすでに深夜0時間近。
私たちはベッドに入っていましたが、とても眠れる状況ではありませんでした。
というか、うるさすぎる…。
この状況で寝られる人がいたら、ぜひお目にかかりたいものです。
そして何より、
もし本当に上で殴り合いでも起きていたら。
もし誰かが怪我をしていたら。
そう考えると放置することもできませんでした。
戦々恐々としながら、私たちはスマホを手に取り、
そして――…
「110」の番号を押したのです。
〈次回予告〉第7話は…

ついに110番通報!?警察に語った、上階住人の“言い訳”とは…
深夜0時をまもなく迎える頃。
「もしもし、あの、事件?ですかね、実はアパートの上階から、激しい物音が聞こえてきていて……」
私たちの通報から、10〜15分後。
物件Aに到着した警察官たちが、上階住人と何やら話し始めました。
恐る恐る耳を澄ませた私たちに、聞こえてきた”声”は―…




